途中駅が93もある果てしなきローカル線
乗り通すのに6時間以上もかかる、まさに修行の飯田線
飯田線は長野県の辰野駅から愛知県の豊橋駅を結ぶ195.7kmのローカル線ですが、4つの私鉄が合併してできた経緯もあり非常に駅が多く、途中に分岐する路線が無いので行き止まりの線を除けば脱出不可能な感じが一番強いです。
全線乗り通すのには6時間以上かかるので、まさに修行といわれたりもします。
輪をかける93もの停車駅
豊橋を6:00に出る列車に乗れば、乗継2回で全駅に停まることができます。
天竜峡と飯田で乗り換えていけば辰野に11:47に到着するので、6時間以内で93駅全てに停車しながら踏破することができるのですが、豊橋6:00というのは前泊しないといけないレベルで、浜松からでも間に合う列車はありません。
中には直通列車も
例えば10:42に出る豊橋発岡谷行きの場合、最初の船町と下地は通過となりますが、小坂井からは各駅停車となり91もの駅に連続停車し、辰野に着くのは17:20と実に6時間38分もかかります。
これは本長篠で17分をはじめ、飯田で7分、伊那大島で8分、駒ヶ根で8分などの停車時間の他、3分以上の停車がさらに8回と行き違い停車が多いせいです。
それこそ乗り通している間に日中が過ぎてしまうというのんびりした路線ともいえます。
普通の人だと、30分も乗った時点で眠くなるか、特急は無いのか~!と絶叫しだすかもしれません。
ちなみに豊橋と飯田の間には特急伊那路が2往復走っています。
こちらは青空フリーパスを使えばフリー区間内ですし、特急券を別払いで乗ることもできます。
実際に辰野から豊橋まで乗ってみました
実施したのは2022年4月10日の日曜日、青春18きっぷの最終日と桜の季節が重なって混雑していました。
辰野~伊那松島
辰野を12:43に発車する岡谷始発の天竜峡行きに乗りました。
313系のボックスシートが並ぶ2両編成で、最初から混んでおり、私が乗ってきた塩尻発中央本線旧線回りの辰野行きから乗り換える人も10人以上いました。
辰野を出ると豊川まで接続する鉄道路線が無いので長い旅路だなと思いつつも2分ほどで最初の宮木駅に着き、車掌が2人も乗っており切符の回収に大わらわといった感じです。
5つ目の伊那松島駅で下車する人が目立ち、他の駅でも乗降ゼロという駅はほとんど見かけないですね。
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伊那松島→伊那福岡
この区間は進行方向右側に時折中央アルプス、進行方向左側を天竜川が流れる構図が続きます。
ハイキング客の乗り降りも多いが、辰野からICカードの利用ができない旨をさんざん放送しているにもかかわらず車掌が通りがかった際に申し出をせずに駅で下車した時にそれが分かると、精算処理のために列車の遅延が発生するので、伊那北駅で3分ほど遅れました。
伊那市駅で高遠の桜を見に行くと思われる人が多く下車しますが、帰りの人も乗ってきます。
駒ヶ根駅からは中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイへ行くバスが出ており、駒ヶ岳の様子もだいぶ近づいてきますが、建物に阻まれるのがちょっとつらいところです。
駒ヶ根駅よりも地元の人は次の小町屋駅で降りるので、ここで少し空いてきて、伊那福岡までくるとカーブだらけの区間が続きます。
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伊那福岡→元善光寺
伊那福岡からは河岸段丘を進むので、川を渡るために急カーブが連続するのでスピードもだいぶ落ちて進んでいきます。
進行方向左側には南アルプスが見えてきたりかなり標高の高いところを進み、天竜川沿いにできた街並みを見下ろすような眺めが続きます。
急カーブ区間は下平駅あたりで終わり、市田柿で有名な市田駅を過ぎていくと元善光寺駅に到着します。
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元善光寺に立ち寄る
長野駅近くにある善光寺はあまりにも有名ですが、こちらの元善光寺もお参りしないと片参りになると言われるほど実は重要な位置づけとなっています。
駅からは徒歩7分くらいで下左の場所までくるので、あとは参道を上がっていくだけです。
午後3時少し前だったのでそれほど混むこともなく、お戒壇巡り(真っ暗な中を歩いていく)も体験できました。
さらに300mほど歩いていくと舞台桜と石塚桜を見ることができました。少し散りはじめていたもののしだれ桜の貫禄が十分にあります。
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元善光寺→天竜峡
少し時間があったので、元善光寺から桜町まで行き、折り返して伊那上郷に行き、そこから豊橋行きの列車に乗りました。
桜町までが313系転換クロスシートの3両、伊那上郷行きは211系の3両だったのですが、豊橋行きは再び313系ボックスシートの2両でちょっとガッカリ。幸い空いていたのと、飯田駅で乗客の入れ替えがあったのでボックス席の進行方向窓側は確保できましたが、ボックスシート自体は2人がけや3人がけの状態でした。
天竜峡までは天竜川を左に眺めながら少し高い位置を走っておりますが、この先は車窓が一変します。
天竜峡の桜はちょうど満開ということでしたが、花見客はほとんど乗ってこないので、みんな車で行くんだなぁというのを痛感。
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天竜峡→平岡
天竜峡からはトンネルだらけ、秘境駅だらけの区間が中部天竜まで延々と続きます。
徐々に日が西に傾いてくるのですが、山が迫っているので早いうちに隠れてしまいました。
門島駅で行き違った列車は223系の2両で、むしろあっちのほうが乗り心地いいのになぁと思いながら見送ります。
秘境駅めぐりの様子は、2021年4月18日に乗った様子を参考にしてください。
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平岡→水窪
天龍村の中心地である平岡駅で8分停車。併設する龍泉閣のお土産コーナーももう閉まっており、駅はひっそりとしています。
ずっと走ってきた長野県も中井侍駅を過ぎると静岡県へと入り、秘境駅3位の小和田駅で下車する人、乗車する人がそれぞれいました。まだ豊橋方向は2本停車するので問題ないですけど、1時間以上待つのはかなり心細い感じですね。大原トンネルを抜けると旧水窪町の中心駅である水窪駅に着きます。
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水窪→東栄
向市場駅を出ると旧水窪町から旧佐久間町に入り、この間に有名な川を渡り切れずに元に戻るというS字橋(第六水窪川橋梁)を渡って城西駅に着きます。
中部天竜駅で乗務員が交代して浦川駅で行き違いを行い、出馬駅を過ぎると愛知県に入り、東栄駅に到着します。
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東栄→三河槙原
東栄を出て1.1kmの切り通しのところに国道から見つけにくい池場駅があり、長いトンネル越えをして三河川合駅を過ぎると秘境駅の柿平駅。ここはホントに何にもない駅というのがピッタリです。
三河槙原駅は愛知県民の森の最寄り駅で、日中ならば宇連川の清流に板を敷き詰めたような渓谷がしばらく続きますがもはや真っ暗です。
この駅で13分停車して特急伊那路号と行き違いをします。
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三河槇原→豊橋
すっかり日も暮れてしまいましたが、本長篠駅でサイクリング帰りの人たちが乗り込んできて少し落ち着いていた車内が賑やかになります。
新城駅からは豊川や豊橋に向かう人たちも乗ってきて立つ人も出てきました。
豊川に着くと右手に名鉄線の明かりが見えてきて心なしかホッとします。小坂井を発車するとほどなく名鉄本線と合流し、下地と船町は通過していきます。
20:16に豊橋駅到着。伊那上郷駅からでも4時間3分、59駅もの停車という長い移動でした。
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