夜景電車で売り出し中の岳南電車のプレミアムツアー
2021年9月25日(土)、岳南電車とフジパク(富士山博覧会実行委員会)協力のもとでナイトウォークイベントが開かれ、参加してきましたのでその様子をかいつまんで紹介します。
終電後の線路を歩きながら工場夜景を見たりするツアーに参加
今回のツアーのポイントは、
- 夜景電車で岳南電車線を1往復
- 吉原駅周辺の夜景スポットをフジパクの方がご案内
- 終電後の比奈駅から懐中電灯をつけながら線路を歩いて岳南富士岡駅までいく
- 帰りは工場の林立する道を歩きながら夜景を楽しむ
ということで、ヘルメット、光る一日乗車券、ミネラルウォーター、夜食、乗車証明書、お土産がセットになって6,000円のコースです。
ツアー自体終了が24時前後ということで、富士市内に宿を取って参加しました。
岳南電車は鉄道として初の日本夜景遺産認定
岳南電車は静岡県の吉原と岳南江尾を結ぶ9.2kmのローカル線で、単線区間を1両ないし2両の電車がトコトコと走っています。
かつては貨物輸送で収益をあげていましたが、2012年に貨物輸送は廃止され旅客運送だけでは経営も苦しい中、富士市内の工場地帯を走ることを生かして車内の灯りを落として走る夜景電車をうみだし、この取り組みが認められて鉄道として初の日本夜景遺産に認定されました。
25名限定のツアーはネットにて予約
このツアーは25名限定ということで、ネット予約のみとなっています。
この日は14名参加でした。まだ新型コロナウィルスによる緊急事態宣言解除前ということで十分に対策を取りながらの開催となりました。
主催するところによっては、ネット予約、電話予約などまちまちですので、それぞれのツアー詳細を確認しながら予約を行ってください。
集合は岳南鉄道比奈駅
駐車場はネット予約
集合場所は比奈駅で、駅の構内に大きな駐車場がありますがこれは全てネット予約の有料駐車場となっています。もともとは駅から製紙工場に入る側線だったのですが、貨物輸送が廃止になって空き地となったところを改良したものです。
アクセスからしてマイカーかタクシーいずれかとなりますが、深夜帯にタクシーをあらかじめ押さえておくのもなかなか大変なのでマイカーがおススメです。
受付の際も車の場合は予約画面を見せて確認があります。
受付を済ませる
受付を済ませて、お土産はヘルメットは一旦車に戻しておきます。
最終電車で比奈駅に戻ってからヘルメット着用となるとのこと。
一日乗車券は夜行性なので色が変わるみたいです。
全員揃ったところで、岳南電車の方とフジパクの方がそれぞれ挨拶がてら、ツアーの見どころや岳南電車のウラ話などを紹介してくださりつつ岳南江尾からの電車を待ちます。
まずは夜景電車の旅へ
夜景電車の明るい車両で比奈から吉原へ
2両編成の夜景電車が来ました。後ろの車両は灯りが消えていて、夜景電車用の乗車券を持った方のみが入れます。まずは通常車両のほうで一日乗車券に灯りをあてていきます。
まだ時間帯的に途中駅での乗り降りも多くありました。
夜景電車の暗い車両に移り吉原から岳南江尾へ
吉原駅に着いて、今度は暗くなる車両へ移動します。
夜景電車の運行は本日終了となっているので、この車両はツアー客のみの貸切です。
カウントダウンで車内の灯りが落ちると、一日乗車券がほんのりと浮かび上がってきました。
夜景観光士の説明を聞きながら右へ左へと移りつつ夜景を狙っていきますが、電車もそれなりにスピードを出しているので、スマホレベルではブレます。明るいレンズのカメラで狙う必要がありました。
さすが他の皆さんは大半が大きな一眼レフカメラを持っています。
岳南富士岡駅ではちょうど電気機関車のライトアップが行われていてヘッドマーク掲示もしていたので、美味しい写真が撮れました。
岳南江尾駅で竹灯篭によるライトアップ
終点の岳南江尾駅では竹灯篭を使ったライトアップが行われていました。
水たまりに浮かぶ電車などいろいろと角度を変えて撮影してみたり、古い駅舎を眺めたりしていると、すぐ近くを東海道新幹線が勢いよく通過していきます。
この駅は新幹線からもほんの一瞬ですが見られるので、一度探してみるのもおススメです。
再び暗い車両で吉原へ
帰りは岳南江尾駅を20:24発。行きでここは撮影出来そうかな?と思ったところを狙いながら吉原駅へ向かいます。
比奈~岳南原田のあたりや、ジヤトコ前~吉原など思いのままにシャッターを押していきます。
工場夜景のほか、小さな駅の古びた鉄骨や駅名標といったものもよい被写体になりますね。
吉原に20:47に着いて一旦改札を抜けます。
歩いて富士市内の夜景スポットへ
JR線の下を通る細くて狭い地下通路で駅の南側へ
ここからは夜景観光士さんの案内で夜景スポットへ向かいます。まずは岳南電車側からJR側の出口へ抜けるために地下道を通るのですが、これがまた高さが自分の身長(169cm)ギリギリくらいで、途中下がっているところではかがみながら通っていきます。
壁にはいろいろと絵が描かれていたりするのですが、列車の通り時などはちょっとスリリングですね。
水も湧き出ていて、カニが歩いていたりもしました。
展望所より夜景を眺める
案内された展望スポットにてしばし撮影をします。
晴れていれば富士山も見られるようですが、この日は曇り空で見られず。下弦に近い月が出ていたのでそれを背景にしたりします。
港の景色や、新富士駅に向かう新幹線、在来線も見られるので結構いいところでした。
吉原駅では出発までの間グッズ販売が行われ、皆さん思い思いのお土産品を買い求めていました。
いよいよ線路ウォークへ
最終電車で比奈駅へ
平日はもう少し電車が走っていますが、土曜日は21:39発が最終電車となります。
岳南江尾からの最終電車が到着してから出発しますが、一両で十分で、ツアー客と数人といった感じでした。
この列車にはハート型のつり革が一つ付いています。ちょっとした遊び心なんですね。
コロナ対策で窓は雨でも開けっ放しで走っているそうです。意外に走行中には雨は入ってこないそうですが。といってるうちに比奈駅に到着。
ヘルメットをかぶっていざ出発!
22時出発で、全員ヘルメットを着用し懐中電灯を持って集合、2班に分かれていきます。
最初に電話で吉原駅の指令室に線路封鎖の依頼を行い、比奈と岳南富士岡間が信号によって封鎖された状態になります。
それから構内を抜けて線路内に入っていきます。
線路や信号機、ポイントといった施設類はUP出来ないので、夜景写真のみとなりますが、スプリング式のポイントや線路の厚さや重さの違いといったものがよく分かりました。
比奈駅ホームから岳南富士岡方面
なかなか歩きにくい線路を一キロほど歩いて隣の岳南富士岡駅へ
線路には枕木があるので、それを目印に歩いていきますが、ここまで夜景スポットへ歩いたりとかしているので結構疲れてきます。小雨も一時降ってきましたけど、何とか歩き切ります。
途中には踏切を渡ったりもするので、指示に従いながら道路を横切るなど緊張感をもってのツアーになりますね。
住宅地が近づいてくると声のトーンを落としながらになるなどの配慮もされていました。
電気機関車のライトアップを撮影しながら夜食タイム
23時を回ったあたりで岳南富士岡駅に到着。
ここは8月に完成したがくてつ機関車広場となっていますので、ここの写真は広場で撮影したものです。
夜食のパンと飲み物が配られて、広場のベンチや駅のベンチなどで座りながら食べていきます。
ED501や291は昭和一桁製造の機関車なので100年近く経っています。なるべくリアルな姿を残す為に電気は通ってないものの架線を張り、パンタグラフをあげた状態になっています。
赤とクリーム色の車体は日本製紙用の機関車カラーに再塗装されたものです。
帰りは工場が林立する道を歩きながら比奈駅へ
帰りは工場が立ち並ぶ道路沿いを歩いていきました。
製紙工場は24時間操業
製紙工場は24時間操業なので、歩いていても工場内のプラントの音が聞こえてきます。
夜景を撮影するのであれば、電車を降りて歩いたこちらのほうが沢山撮れそうですね。
灯りに照らされたパイプ類や煙突が間近に見られました。
迫力たっぷりの夜景
さすがに比奈駅まで戻ってくると日付も変わっていてバテバテでしたけど、5時間ほどの長丁場を楽しむことが出来ました。
このルートには桜がキレイな場所もあるそうで、開花時期になると夜景で自然とライトアップされた桜と工場夜景のコントラストが人気スポットとなります。
まとめ
夜景メインというより電車で見る夜景と割り切る必要あり
川崎や千葉といったようなギラギラとした大規模プラントの夜景とは違い、電車の中から見る夜景とか、富士山と一緒にというようなローカル色を前面に打ち出した感じなので、そこは割り切る必要があるという感想です。
夜景電車より吉原駅入線
灯り自体が減りつつあるのをどうカバーしていくかが課題
製紙工場もコロナ不況の影響があるので、灯りを落としたりとかの対策をせざるを得ないですし、ある程度は経済が元に戻っていく状況に頼らざるを得ない部分があります。
3枚目の写真のように駅を一旦出ればまた違う角度からの景色も楽しめるので、目線を変えつつ地域としての工場夜景を楽しめるようになっていければと思いました。