気楽に死にたい。
そう思ったことが何度あるだろうか。
ただ。
死ぬということは、いろいろと周りに気を遣わせる。
飛び込んだり、飛び降りたり、吊ったり、密閉したり。
何にしても他人の目に触れる。
自分を処分するのに、手を煩わせてしまう。
スッと、何事もなかったかのように。
誰の記憶からもいつの間にか消えていきたいのだ。
そんなある日。
ふと目に留まったネット上の広告。
「飲んだら死ねる薬、サンプル版あります」
いや、どう考えてもスパムでしょ?なにこれ?!
すぐ、消した。
毎日がつまらない。生きていく意味が分からない。
そんな日々が続いた。
・・・あの薬、どうやったら手に入るんだろう?
でも、あの広告は画面に出てきてくれない。
スパムなのに。
いくら検索しても出てこない。
スパムなのに、追い求めている。
寝不足。寝落ちしたのか、身体のあちこちが痛い。
携帯を手に取る。
「飲んだら死ねる薬、サンプル版あります」
すぐクリックした。
そこには、こう書いてあった。
『サンプル版は48時間あなたの存在を消します。
有効期限までにお飲みいただかない場合は効果はありません。
飲んでから48時間、全ての人はあなたのことを忘れます。
そして、目が覚めた時、いつものように思い出します。
でも、その48時間のことについては誰も触れません。
もし、永遠の機能をお求めになりたい場合は、有効期限の3日後に送られるメールをご覧ください。』
【購入】を押した。
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[…] 飲んだら死ねる薬のお試し版① 2020年4月25日 […]