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三月、網走の夜明けはまだ薄暗い。
冷たい空気の中、駅のホームに滑り込んできたのは、キハ54系の一両編成。釧路行き、釧網本線の始発列車です。


旅人が集まる始発列車
車内を見渡せば、大きなザックや旅慣れた装いの乗客が目につきます。
青春18きっぷなのか、それとも大人の休日倶楽部パスなのか。
同好の士とおぼしき顔ぶれが、すでにクロスシートをしっかりと押さえていました。
出遅れた私は、やむなくロングシートに腰を下ろします。
静かな緊張感の中で、列車はゆっくりと動き出しました。
流氷を期待したオホーツク海
列車はオホーツク海沿いへと向かいます。
北浜あたりで流氷が見られれば――
そんな期待を胸に窓の外を見つめますが、広がる海面は穏やかに凪いでいます。
白い流氷の姿はなく、
ただ静かな海だけが続いていました。
流氷はすでに去ったのか、それとも今年は縁がなかったのか。
そんな思いが、淡く胸に残ります。


原生花園から流れ込む朝の時間
原生花園駅を過ぎるころ、車内の空気が少し変わります。
斜里へ向かう高校生たちが、停車のたびに乗り込んできます。
笑い声と、鞄のぶつかる音。
旅人ばかりだった車内に、
地元の朝の時間が流れ込んできます。
夏には花々が広がるという車窓も、
今は一面の雪。
境界さえ曖昧な白い世界が広がっています。


海岸線を走る静寂の区間
止別を出ると、列車は国道を離れ、海岸線へ。
民家も交差点も消え、
ただ線路と海だけが残されます。
約11キロ、11分。
人の気配のない白い海岸を、キハ54系は走り続けます。
波の音も、風の音も、車内には届かない。
聞こえるのは、ただ走行音だけです。
知床斜里駅 到着アナウンス
やがて速度が落ち始め、
穏やかな車内アナウンスが静寂を破ります。
列車はゆっくりと海岸を離れ、
知床斜里駅へと到着。
高校生たちがいっせいに立ち上がり、
旅人たちは再び窓の外へ目を向けます。
ここからまた、それぞれの一日が始まっていきます。


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