宗谷本線の駅というと、歴史ある立派な駅舎を想像すると思いますが
これが現実だったりします。(2020.3.9 南美深駅)
そして、この南美深駅を含め12もの宗谷本線の駅が3月13日のダイヤ改正で廃止となりました。
美深~天塩中川
初野駅
ピカピカな駅名標に置き換わっており、次の紋穂内駅の表示がはがせるようにシールになっています。
宗谷本線の駅は朝礼台のようなホームが多数を占めます。
大体踏切のすぐ横に駅があり、小さな待合室が離れたところにあって、道路側のスロープ状の階段を上っていくと列車1~2両分の木製の板で張られたホームが片側にあるだけです。
線路は単線で行き違いの設備もなく直線の途中にポツンと立っています。
初野駅はその典型的な作りの駅ですね。
廃止予定の紋穂内駅
紋穂内駅が廃止になるというのはちょっと驚きでした。
駅名がアイヌ語らしい響きで存在感があったのですが、実際には乗客の乗り降りというものはほとんどなかったようで、残念ながら3月13日の改正で廃止となってしまいました。
すっかりボロボロになった車掌車の待合室、スマホで連写した中でいい具合に撮れた写真を載せておきます。
乗車率がだいぶ高く、車内が暖房が効いて暑いので窓ガラスが徐々に曇ってきたりしています。前面展望も車体に吹き飛ばされた勇気がこびりついたりしてそれが車内の熱や太陽の光を受けて溶けて雨が降ったような感じになっていましたが、こちらは前面展望を撮影している JR のスタッフが綺麗にしてくれたので眺めは良好です。
邪魔にならないように撮影すれば前面展望も OK です。
この辺りは乗客の皆さんはよく理解されているようで、よくニュースに出るような鉄道ファン同士の場所の取り合いによる怒号の嵐といったものはありません。
あのような感じになるのは、ごくごく一部の自分さえよければいいという考えの持ち主の起こすことであって、もともと鉄道ファンはおとなしい人が多いです。
恩根内駅
恩根内駅もアイヌ語の雰囲気が良く残っている駅名です。
当初は今回のダイヤ改正で廃止になる予定でありましたが、地元の要請を受けて地元管理の駅になることで廃止を免れました。
駅舎も小ぶりながらあります。
こちらも車窓の左側に展開されていますが、ホームが線路の右側なのか左側なのかについては、グーグルマップで拡大してみるとホームの位置が出るのでそれで判断をするようにしたり、あるいは早めに全面のデッキに出て直線を見渡すとどちらかに駅があるのがわかります。
自分の座席は左側のロングシートなので、左側にあれば座席の窓の上のところから取れば、雨水や雪がこびりついてることが少ないので撮影しやすいです。
これはモニターでよく確認しておかないと、せっかくの写真がぼけてしまったりするので要注意です。大体窓の上側の方が綺麗になっていることが多いので自分はそうしました。
右側にある時は後ろのデッキの方に移動して撮影をしました。
廃止予定の豊清水駅
次の豊清水駅は廃止になるものの、行き違い設備を持った駅なので今後は信号上のような扱いになるのでしょうか。
この駅で5分停車し稚内から来る特急サロベツ2号の通過待ちをします。
乗客の大半が下車して、駅舎を撮影したり反対側のホームから今来た列車を撮影したりとなかなか忙しいです。
中には重厚な録音機材を持った人が駅に立っていて、サロベツ号の通過を待ち構えていたりします。
皆さん時間や撮影場所をルールの範囲内でしっかり守りながらサロベツ号の通過の様子までを撮影して車内へと戻ってきました。
デッキとの境のドアもあけっぱなしにして換気をしたせいか、少し重かった車内の空気も軽くなったような気がします。
すでに心地よい眠りについている人もいるようで、旅の楽しみ方は車中の睡眠にあると断言される方もいるくらいなので、そこは突っ込まずにしておきましょう。
天塩川温泉駅
次の天塩川温泉駅も板張りの小さな駅になっています。
ホームの長さが10 M ほど、車体の長さは20 M くらいあるので、列車が停車している時は実は交差する道路上に車体が止まっているので踏切のバーが降りたままになっています。
普通ならば車体が通過して踏切が上がったところに駅のホームがありそうなものですが、特に宗谷本線ではこのような形態の駅が多く残っています。
駅から徒歩10分くらいのところには名前の通りの天塩川温泉があります。
道はしっかり除雪されているようです。車窓を眺めていると、中には全く除雪されないまま道路標識がほぼ雪に埋まっていたりしている道路もあるので、冬になると閉ざされた道も多くあるようです。
咲来駅
次の咲来駅は、かつては木材の切り出しなどで栄えたところだと言われています。
現在でも集落は小さいながらも残っていますが、乗り降りする客は非常に少ないとのことです。
駅名は「咲く」と「来る」をかけ合わせた感じでいい響きだったりします。
車内の会話から、次の音威子府駅で降りて反対列車に乗るか、それともこのまま稚内方面に向かうのかという話題が出ています。
乗車している人の切符は概ね次の四つに分けられると想像されます。
・大人の休日倶楽部パス東日本北海道版
・青春18きっぷ
上の二つについては特急列車の自由席まで乗り放題なので、稚内まで行っても折り返しの特急列車に乗ればその日のうちに旭川や札幌まで行くことができます。
下の二つについては普通列車しか利用することができないので、別料金を払って特急に乗るのか、途中の駅で下車して折り返す列車で旭川方面に戻るかになります。
とはいえ、音威子府で降りても次の反対列車まで4時間近く空くのではやりようがありません。
音威子府駅
音威子府駅での停車時間はわずか3分です。
特急列車も停車するかつては天北線との分岐駅としても賑わった駅ではありますが、列車の行き違いもないので短い停車時間になっています。
そんな中でも急いでホームからの眺めを撮影したりしながら車内へ戻ります。
実はホームと駅舎との間に結構距離があったので、駅舎の撮影まではできなかったです。
かつては駅そばでも名をはせた駅でありましたが、先日その方も亡くなられたとのことで寂しくなりました。
筬島駅
筬島駅は10年くらい前に訪れた時は本当にボロボロの車掌車の待合室がかつて立派な駅舎があったと思われる跡地の所にあったのですが、綺麗に塗りなおされていました。
音威子府駅を出てからはずっと天塩川が線路の左側に沿う形になるのですが、国道40号線は川を挟んだ反対側をずっと走っていくようになります。
筬島駅へのアクセスは天塩川を渡る橋があるのですが、実はこの先次の佐久駅まで18 km の間一つも橋がありません。
ここからは天塩川の蛇行につきそう形で走っていきます。
佐久駅
堤防というものにほとんど縁がないような自由気ままに流れる天塩川に沿っていきます。
かつては神路駅→信号場があったのですがそれも廃止となり、人家の全くないところを延々と走り続けます。
周りは防風林で囲まれているのであまり眺めは良くありませんが、たまに木々の間から見た目全面結氷したかのような天塩川が眺められ、遠くの山々の稜線も見えてきます。
春になったこともあり、結氷がとれて水の流れが分かるところも出ているので、そんな景色にシャッターを切る人も多く見られます。
20分ほど走って佐久に到着します。
ここはふるさと伝承館と一緒に駅が存在しており、駅がコミュニティ施設として重要な役割を果たしていることを伝えています
天塩中川駅
次の天塩中川駅は特急の停車駅になります。
とはいえ1日の乗降客は10人前後と非常に少ないところで、実際両隣にあった琴平駅と下中川駅はともに廃駅になっています。
駅舎は建て替えられて新しいものになっていますが、駅自体は無人駅です。
旭川を出発して3時間40分あまり。あちこち行ったり来たりしていることもあってか眠さは感じません。同じようにスマホと一眼レフを駆使して写真を撮りまくっている女性の方もおられ、この方は後部デッキから遠ざかる駅舎を狙っているようです。
前側がだいぶうるさく(寝ていた年配の方が起きて鼻マスクでしゃべりだした)なったこともあり、自分もポジションを後ろ側に移しました。
コメント
[…] 前回までの美深~天塩中川までの記事はこちら! […]