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知床斜里でどっと降りた高校生たちの賑わいが遠ざかったと思う間もなく、
また別の若い顔ぶれが乗り込んでくる。
聞けば、清里町の近くにも高校があるらしい。
釧網本線は、この朝も静かに通学路としての役目を果たしていた。


--目次--
斜里岳を望む車窓
中斜里を出ると、車窓の左手に斜里岳が姿を現す。
三月の山肌はまだ白く、
裾野まで雪をまとったまま、どっしりとそこに座っている。
列車が走っても山は動かず、
しばらくのあいだ、ずっと左側に寄り添うように見え続けた。
畑の中に現れる小さな駅
やがて列車が速度を落とし始める。
畑の真ん中に、ぽつりと駅があった。
コンクリートのブロックを積み上げただけの、短いホーム。
上屋もなく、待合室もない。
ただ駅名標だけが、三月の風の中に立っている。
南斜里駅。
廃止まで、あと三日
この駅が廃止されるまで、あと三日。
2021年3月13日をもって、その役目を終える。
宗谷本線の廃駅では、最後の日を惜しむ人々で賑わうこともある。
しかしここには、そうした気配はまったくない。
乗り降りする人の姿もなく、
見送りの人影もない。
ただ、静かな時間だけが流れていた。
南斜里駅 停車と発車


列車はしばらく停まり、
そしてまた静かに動き出す。
遠ざかるホームを振り返ると、
南斜里駅は、雪原の中に溶け込むように小さくなっていく。
その姿は、まるで最初から何もなかったかのように、
静かに消えていった。


