郷土の歴史を楽しみ、今よりもっと浜松を好きになる物作り。”浜松天狗屋”坂田吉章様

起業家・お店紹介

今回は浜松ならではの縁起物、お祝い物、郷土玩具といったものを制作しながら、地元地域の情報発信をしている浜松天狗屋の坂田吉章様にインタビューさせていただきました。

地元浜松の民俗掘り起こし

小学校の時に見た三十三間堂に衝撃

Q.まず、そもそもこのようなモノ作りに至るまでのストーリーをお聞きしたいのですが、小さな頃から興味があったのでしょうか?

A.小学校の時に、両親と旅行で京都に行って三十三間堂に行ったんですよ。
あそこは1001体の千手観音像があってどれか1つは自分の顔に似ていると言われているのですが、その空間に衝撃を受けたのがきっかけでしょうね。
その後も旅行に行くならどこがいい?と聞かれると「京都」と答えていて、いろいろと連れて行ってもらいました。

大学・就職は京都で

Q.その影響もあって、大学や社会人も京都で過ごされていたのでしょうか?

A.そうですね。京都のお寺は仏像や曼荼羅といったものが多くカッコよさを感じていたこともあり、日頃から見られる環境のほうが良いと考えて京都の大学に進み、卒業後もそのまま京都の会社に就職をしました。
仕事をしながら、休みの日には京都や奈良、滋賀あたりを回って、社寺めぐりの他にも、民俗芸能や京の茶屋といったものにも触れて楽しんでいました。
今でもそうですが、深く勉強したいというよりは、興味のあるものを一通り楽しんでみたいというスタンスなんです。

ふと考える。地元浜松はどうなのか?

地元に宝を発見!決断をしてのUターン

Q.そんな中で、浜松に戻ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
会社員を辞めてということですから、勇気ある決断かと思うのですが。

A.昨年の1月頃でしたか、ふと思ったんですよね。京都にはこれだけのものがあるけど、地元にはどれくらいあるんだろうか?と。
そして、地元に帰って社寺めぐりをしてみたら、知らなかったことが沢山目や耳から入ってきたんですよ。
それであれば、地元のことをもっと掘り起こしてみよう!という気持ちが強くなって意外とあっさり決断出来ました。
もちろん周りの人たちはびっくりしましたけど、快く送り出してくれてありがたかったです。ただその頃は京都でバンド活動もしていたので、バンドメンバーには迷惑かけました。

浜松東照宮からの浜松城

郷土史への関心も始まる

Q.郷土史についても詳しいとのことですが、それもこのタイミングだったのでしょうか?

A.そうだと思います。浜松の方は、聞けばいろいろと教えて下さる方が多く、その話の中から歴史にも興味がわいてきて、もっと掘り起こしてみたい!と思うようになり、7月頃に地元の浜松へ戻ることにしました。

浜松東照宮の家康・秀吉公の銅像、中央で写真を撮れるパワースポット

浜松へのリターン

身近にあるソースを活用

Q.浜松の民俗文化の情報はどのように入手していたのでしょうか?

A.地元のWEBメディアを見て調べたりしていましたが、古本屋とか、図書館にも足をのばしてみると、意外と文献が残っており、それを参考にしました。
調べていく内に徐々に声がかかってくるようになり、特に年配の方は私のような若輩者が関心をもってくれることに興味があるのか、いろいろとマル秘情報を教えてくれたりしました。
同様に社寺などに足を運ぶようにした時も住職さんが親切に解説してくださったりしました。

既に手掛けていた張子作りを強化

Q.今、仕事で手掛けている浜松天狗張子というものは、いつごろから覚えたのでしょうか?

A.張子の制作については京都にいる時から既に始めていて、様々な文献を見ながら独学で覚えました。
最初は思ったものが作れなかったのですが、出来た作品に意見をいただいたりしながら試行錯誤を繰り返していきました。
また張子作りをするにあたって遠州の風は乾燥に都合がよいなど、好条件が重なったのも良かったです。

てんぐちゃんとの出会い、展示会へ

気がついたらそばにいた。

Q.浜松に帰ってきて、浜松天狗屋を始めるわけですが、パートナーのてんぐちゃんとはどうやって知り合ったのでしょうか?

A.うーん、実は気がついたらいつの間にかそばにいたんですよ。そうしたらお互い昔からずっと一緒にいるような感じなんです。
一緒にやっていく中で、代表作品の浜松天狗張子を作ることができました。

てんぐちゃんは浜松観光案内でも活躍

天狗の風に乗って展示会も大盛況

Q.お店の展開や宣伝はどのように行っているのでしょうか?

A.実店舗を持っていないので、今の所は展示会に出展しての販売が主です。
宣伝は、てんぐちゃんがTwitterを2019年の1月から始めたのですが、運良くゆるキャラというイメージも手伝って一万超のフォロワーさんがおり、その中で地元情報も流したりしています。
1月に展示会に出展させていただきましたが、300体ほどの作品がおかげさまで完売することができました。
これは店内に遠州天狗の歴史を紹介して、作品の背景を理解していただけたことが大きかったです。
また、全国各地のフォロワーさんがこの展示会に足を運んでくださったり、大変ありがたく、まさに天狗様が風を起こしてくれたようです。

浜松の三大天狗

ご年配の方の持つ情報で昇華させていく

Q.このような作品を購入されるのは、ご年配の方が多いのでしょうか?

A.ご年配の方や、子供連れの方が多いですね。中には地元の歴史に詳しい方がおられて、レアな民話の話が聞けたりしました。そのような方からより詳しい方へつないでいただいたりということも多いです。

作品の数々、うなぎをモチーフにしたもの等地元色もおしだす

今後の展開・やりたいこと

京都と浜松の違いはあまり無い

日照時間が長く、乾いた季節風は張子作りに最適な環境

Q.今後のことをお聞きするにあたり、京都と浜松両方を見てきて、ここが違うかな?と思うところはありますでしょうか?

A.京都は文化を魅せるデザイン力が高いのかな?と思います。街全体の作りからはじまり、全体調和が取れるような仕組み作りも出来ているので年間を通して関心を持ってもらえ人々も集まります。
浜松においても、徳川家康の居城であったことや、近代工業の発展の重要拠点であるなど歴史的価値があり、隣の長野県飯田市との文化のつながり等民俗学的にも掘り起こせば面白そうなものが沢山あるので、どうやって伝えていくかが確立されると面白いんじゃないかな?と思います。

張子作りを楽しめるOPEN工房を作りたい

天狗の子供。浜松天狗張子のモチーフになった作品

Q.今後やってみたいことは何か考えていらっしゃいますか。

A.古民家のイメージで張子作りをする工房を作りたいですね。
オープンにして誰でも入れて一緒に張子やおもちゃ作りをしてみたり出来ないかなと思っています。
お話の上手な方には紙芝居とか民話の朗読とかをしていただいたり、手先の器用な人にはモノづくり講座をしていただいたりと、コミュニティの場として活用していただければなおさらですね。

遠州の名物を一堂に会したイラスト

郷土史・民俗史にも造詣を深めたい

Q.浜松のことについてももっと知りたいのではないでしょうか。

A.はい、遠州に伝わる民俗文化にもっと興味を持ってもらえるように、自分自身ももっと沢山のものに興味をもちたいです。浜松の歴史についてや、周辺地域に伝わる民俗文化というものも知っていきたいです。交流の機会があればどんどん行っていきたいので、声をかけていただけるとうれしいです。

今年2月には浜松の民俗芸能、天竜区水窪町の西浦田楽も見物したそうです。

リンク

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てんぐちゃんのTwitter

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